“プログラム”といった馴染みのない概念について説明する前に、例え話をさせて下さい。
入社したばかりのころ、新人研修でF1造型機という半手動の造型機の作業映像をSさんに見せてもらったことがあります。
出典:及精(おいせい)鋳造所(岩手県奥州市)
F1 造型機を操作する作業者は、使用される模型ごとに砂が均一に充填されるよう常に気を配り、動作の一つ一つが「健全な鋳物を作る」ために合理化されていました。
作業者はF1造型機を操作するにあたり、扱う模型ごとに「健全な鋳物」がどうやったらできるかを熟知しており、作業の一つ一つに意味が込められ、人馬一体でよい鋳物を生み出す姿勢は美しいものでした。
「このF1造型機の動作を自動で行うよう目指したのが、KDM造型機です」
F1造型機の映像が終わるとSさんはそう言って、KDM造型機の説明を始めました。
KDM造型機の機構や制御動作の一つ一つにも、F1造型機と同様に「健全な鋳物を目指す」意味が込められていました。
自動であるにもかかわらず、F1造型機の作業者と同様に気を配り、健全な鋳物を目指す設計に感動を覚えました。
KDM造型機はF1造型機と熟練の作業者から学び、その動きを自動で達成しています。
更にF1造型機では実現できなかった、大型の枠での造型をも達成し、鋳造企業の利益を最大化しています。
「設計」によって機械動作は人間の作業と同じように合理化できる
これは僕にとって非常に大きな学びでした。
この衝撃が、はしご君開発の原動力になっています。